こざかなの素

健康は大事

転居とストレス—持病回想録(23)

(前回のお話)

kozakanam.hatenablog.com

 

退院後は実家に戻るため、賃貸の解約手続き、引っ越し業者へ見積り依頼など、細々とした事務作業に取り掛かりました。
右腕が肩より上に上がらなかったので、引っ越しの荷造りは貴重品(や見られたくないもの…パンツなどのインナー)だけ自分でまとめて、箱詰めから業者さんにお願いするというお任せコースを申し込みました。
楽ちんですが、それなりの人数の諭吉さんは飛んで行きます。

平成最後の年末(2018.12.27記)

十数年ぶりの引っ越し作業が終わった。
とりあえずダンボールは全部開封したが、以前の部屋より狭く、家具も数点処分したので、行き場が定まっていない袋があちこちに散らばったままである。
手術後は毎日の飲み薬治療になったが、副作用で関節痛が出て非常に動きづらい。さっさと部屋の片付けをしたいのに、思うように身体が動かなくて何だか情けない……。
重い物はNGと言われているのに、引っ越し作業は必然的に重い荷物が多く、術側の腕(利き手)はかなり酷使したような気がする。
そして気付けば既に本格的な年の瀬に。アンテナ工事が間に合わず、BSが見られない年末になってしまった。

 

年の初めに後ろ向き(2019.1.14記)

年末に引っ越しを終えて、年が明けてからも家のあちこちを掃除しまくっている。
築30年ほどの家は度重なる地震などで隙間が出来ていたり、敷居の滑りが悪くなっていたりと、懐に余裕があればまるごとリフォームしたいくらいくたびれていた。
病気がきっかけで気ままな独居から実家に戻ったわけだが、10年ほど勤めた会社は雇止めに遭い、まとまった時間が取れたので免許取ってから就活……と前向きに考えていた矢先の病名告知で、仕事探しどころではなくなってしまった。
手術から約2か月経過したが、自分が大病を患っているとは思えず、風邪をひいた、くらいの感覚で過ごしているのが不思議である。
身体が思い通りに動かせないのと、家の中に「他人」がいるという状況が徐々にストレスとなり、精神的にあまりよろしくない状態になりつつある。心の不安定さも薬の副作用なのだろうか。
(病気になってごめんなさい、引っ越してきてごめんなさい…という心境)

 

切っても終わらない(2019.2.3記)

自分は本当に「ひとり」が好きなのだな、と改めて実感している日々である。
食卓に「誰か」がいると食欲が落ちる(あまり美味しいと感じない)。
洗濯機の中に「誰か」の洗濯物が入れたままになっているとがっかりする。
掃除したばかりの床に「誰か」が落としたパン屑を見つけて落胆する。
「住まわせてもらっている」のだから、多少の我慢は仕方ない、と引っ越して間もない頃は思っていたのだけど、こういう些細なストレスが積もって闇が深まっていくのだ。
今服用している薬の副作用で一番難儀なのが両腿の筋肉痛である。一度床(低位置)に座ると立ち上がるのが大変。どこかにつかまらないと立てない状態。
右側をリンパ郭清したので、神経切れて感覚がなく、右腕の可動域に制限があるのだが、これまた地味に不便(&痛い)。
もうすぐ術後3ヶ月だけど、どのくらいで支障を感じなくなる動きになるのか先が全く見えず、これも闇の深まりの一因のような気がしている。
ケモしながら仕事している人とか、本当にすごいと思う。今の薬で吐気の副作用がないのがせめてもの救いだが、それにしても痛いところが多すぎ。
明日、2月4日は「世界がんデー」なのだとか。数日前から流れている日テレの番宣で初めて知った。こういうの見ても、実際に当事者にならないと「ふーん」とか「へぇ」で終わってしまいそうな気がする。

 

屍再び(2019.3.7記)

手術から約4か月。
明方の息苦しさや咳が辛く、予約を前倒しして診察してもらったら、まさかの再発(転移?)で再びケモをやることになった。しかも胸に少し水が溜まっていることが分かった。今服用しているホルモン剤は中止して、注射に変更(また高額…)。ケモは経口になるけど、また屍の日々になるのか……
胸水の方が衝撃なのだけど、次の診察まで放置している状態が不安で仕方ない。

 

心にも副作用

2か月後、3か月後、4か月後の経過をざっくり辿ってみました。
家賃を払い続けることが出来なくなったので、心苦しかったのですが実家に転居することにしました。無職で病気の独り身は無力です。
家族のわだかまりから逃れて気ままに過ごしていた生活が一変し、自身のストレスが増すのと同時に老親の暮らしぶりに唖然としました。その頑固さは高齢ゆえなのか元々の性格なのか、とにかく両親の口論と母の愚痴を聞かされる日々に、身体の痛みとともに心の闇にも飲み込まれていきました。

年明けて2019年、1月下旬頃から朝方に喘鳴が出始め、起きると疲労感と喉が詰まるような感覚がありました。
それまで経験したことのなかった「喘鳴」という症状。横になった状態で呼吸をすると、「てろてろてろ…」という文字では形容しがたい音がします。痰が絡んでいるのとはまた違う感じなので、最初はこの症状が何だか分かりませんでした。

2月中も朝方の喘鳴と咳、喉が詰まるような違和感が続いていました。
3月上旬のある日、苦しくて次の受診日まで待てずに病院に連絡して出向いたら、何とも残念な診断に。しかも胸水ってどういうことなの……少しの水なら放置してていいの? と疑問と不安を抱きながらこの日はホルモン剤に替わる注射だけを打って帰途につきました。

2週間後に造影CT検査の予約と、その2日後に検査結果と2回目の注射(フェソロデックス:筋注で尻に2本)をすることになりましたが、数日後、事態はまた予想外の方向に動いていきました。

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